出産による骨盤底筋への影響
2024.11.10
出産後の骨盤底筋の機能不全について、分かりやすく解説します。
1. 骨盤底筋とは?
骨盤底筋は、骨盤の底に位置する筋肉の集まりで、表層・中間層・深層の3つの層で構成されています。
中でも、深層にある肛門挙筋という筋肉(恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋)が重要な役割を担っています。
この筋肉は常に軽く緊張していることで、骨盤内の臓器を支え、排泄のコントロールをサポートしています。
2. 出産による骨盤底筋への影響
出産時には赤ちゃんが産道を通るために骨盤底筋が大きく伸びます。
特に恥骨尾骨筋は通常の3倍以上にまで伸びることがあり、これが出産後の骨盤底筋の機能低下を引き起こすこともあります。
その結果、尿失禁や骨盤臓器脱、骨盤周りの痛みや腰痛といった症状に悩まされる方が多くなります。
3. 骨盤底筋の評価方法
骨盤底筋が収縮できているかどうかは簡単に確認できます。
- 仰向けに寝て、尾骨(尾てい骨)に指先を置きます。
- 「尿を止めるように」骨盤底筋を収縮させます。
- 正しく収縮できていれば、尾骨が指先から離れて持ち上がるのが感じられます。
もし収縮ができない場合は、段階的にトレーニングを行う必要があります。
4. 骨盤底筋へのアプローチ方法(エクササイズ)
骨盤底筋を強化するエクササイズは、骨盤の安定や排泄のコントロールをサポートし、姿勢改善や腰痛予防にも役立ちます。以下に、初心者でも取り組みやすい骨盤底筋エクササイズを紹介します。
1. 基本の骨盤底筋収縮エクササイズ
やり方:
- 仰向けに寝て、膝を立ててリラックスした姿勢をとります。
- 「尿を止めるようなイメージ」で、骨盤底筋を引き上げるようにキュッと収縮させます。
- 3秒間キープした後、ゆっくりと力を抜いてリラックスします。
- これを10回、1セットとして3セット繰り返します。
ポイント:
- お尻や太ももの筋肉を使わないよう、骨盤底筋だけに集中します。
- 息を止めず、自然な呼吸を心がけましょう。
2. 内転筋を使った骨盤底筋エクササイズ
やり方:
- 椅子に座り、太ももにボールやクッションを挟みます(足の間に膝を曲げて挟む形)。
- ゆっくり息を吐きながら、ボールやクッションを太ももで挟み込むように内転筋を使って力を入れます。このとき骨盤底筋も引き上げるイメージで収縮させます。
- 3秒間キープしてから力を抜き、リラックスします。
- これを10回、1セットとして3セット行います。
ポイント:
- 太もも内側の筋肉と骨盤底筋を同時に使うことで、骨盤底筋が意識しやすくなります。
3. 四つ這いでの骨盤底筋エクササイズ
やり方:
- 床に四つ這いになります(肩の真下に手、骨盤の真下に膝を置きます)。
- 腰を反らさないように注意しながら、息を吐きつつ骨盤底筋を引き上げるように収縮させます。
- 3秒キープしたら、ゆっくりとリラックスします。
- 10回繰り返します。
ポイント:
- 腹筋を軽く締めることで骨盤底筋が意識しやすくなります。
- 背中が丸くなったり反ったりしないよう、背骨をまっすぐに保ちましょう。
骨盤底筋を強化するためのエクササイズでは、以下のポイントに気を付けましょう。
- 呼吸に合わせて収縮と弛緩を行う:
- 息を吐くときに骨盤底筋を収縮し、吸うときにリラックスさせます。
- 仰向けから開始し、徐々に姿勢を変える:
- 初めは仰向けの状態から始め、慣れてきたら座位、四つ這い、立位と姿勢を変えながら行います。
- 内転筋(太ももの内側の筋肉)と一緒に収縮:
- 内転筋を同時に収縮させることで骨盤底筋も意識しやすくなります。
- 代償動作に注意:
- 正しい筋肉を使うため、背中を反らせすぎたり、骨盤を過度に傾けたりしないように注意しましょう。
骨盤底筋エクササイズは、ゆっくりした呼吸と正しい姿勢で行うことが大切です。
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