足首の捻挫は、非常に一般的な怪我で、特に外側にある靭帯が傷つくことが多いです。
この怪我は、特にスポーツ中によく発生します。
慢性的な足首の不安定性(CAI)について
足首を一度捻挫すると、適切にリハビリしないと、再び捻挫する可能性が高くなり、足首が「慢性的に不安定」になることがあります。
これを「慢性的な足首の不安定性(Chronic Ankle Instability:CAI)」と言います。
CAIになりやすい要因
- 内因性の要因(体の内部に関係する要因)
- 外因性の要因(外部の環境や状況に関係する要因)
- テーピングや装具(サポーター)の使用、靴の種類、どれくらいスポーツをしているか、運動の強さなど
足首捻挫の影響
捻挫を経験した人の19~72%が、その後も足首に問題を抱え続けています。
これには、動作やバランスが取りづらくなる、足の機能が低下するなどが含まれます。
具体的には、筋肉の反射が遅れたり、筋力が落ちたり、体のバランス感覚が悪くなったりすることがあります。
予測指標
足首のバランスや動作能力を評価するために「Star Excursion Balance Test *1」や「Foot and Ankle Ability Measure *2」などのテストが使われ、
これらのテストはCAIのリスクを予測するために役立ちます。
要するに、足首を捻挫した後にきちんとケアしないと、足首が不安定な状態になり、再度捻挫しやすくなるだけでなく、
体全体のバランスや筋力にも影響を与えることがあります。
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今回は足関節捻挫のリハビリに効果がある足関節の外返し運動について解説します。
足関節の外返し運動は、足首を外側に向けて動かす運動で、特に足関節の捻挫後のリハビリテーションや、足首周りの筋力を強化するために行われます。
外返し運動(エバージョンとも呼ばれます)は、足首の外側の筋肉を使い、外側への可動域を広げたり、筋力を高めたりするのに役立ちます。
以下に、足関節外返し運動の基本的なやり方を詳しく説明します。
準備
- 座った姿勢
床や椅子に座って、膝を90度に曲げ、足を前に出します。
- 足の状態
足はリラックスした状態で、かかとは地面についていても、浮かせてもどちらでも大丈夫です。運動がしやすい姿勢を選びましょう。
運動方法
- 足首を外に向けて動かす
足の指を動かさず、足首だけを動かすイメージで、足の裏全体を外側に向けるように動かします。このとき、足首の外側にある筋肉(腓骨筋など)を使っているのを感じてください。
- 足の外側を「持ち上げる」ような動きです。
- 動作はゆっくりと行い、勢いをつけずにコントロールすることが重要です。
- 限界まで動かす
足首が外側にできるだけ動くところまで動かし、その位置で1~2秒キープします。
- 元の位置に戻す
ゆっくりと足を元の位置に戻します。これも勢いをつけずに行い、筋肉をコントロールしながら戻すことが大切です。
回数とセット数
- 10~15回を1セットとし、2~3セット行います。
- 最初は少ない回数から始め、無理なく続けられる範囲で徐々に回数やセット数を増やしていきましょう。
バリエーション
負荷を少し強めたい場合や筋力がついてきた場合には、次のようなバリエーションを加えることができます。
- 抵抗を加える
セラバンドや抵抗バンドを使い、足に負荷をかけながら外返し運動を行います。バンドを足の外側にかけて、それを引っ張るようにして外側へ動かします。
- 立位での外返し運動
立った状態で、片足を浮かせて行うことでバランス感覚も鍛えられます。この場合、片足立ちで足首を外側に動かす形で実施します。
注意点
- 動作中に痛みを感じた場合は、無理をせずに中止しましょう。
- 最初はゆっくりとした動作で、筋肉を意識しながら行うことが大切です。
- 姿勢や動作が崩れないよう、常に足首や筋肉の動きをコントロールすることを意識しましょう。
この運動は、足関節周辺の筋肉を強化し、足首の安定性を向上させるために効果的です。
*1 Star Excursion Balance Test(SEBT)とは
Star Excursion Balance Test(SEBT)は、バランス能力と下肢(足、膝、股関節)の安定性を評価するためのテストです。
特に足首や膝のリハビリに使われることが多く、怪我からの回復状況や、怪我のリスクを評価する際に役立ちます。
このテストでは、片足でバランスを取りながら、もう片方の足を複数の方向に伸ばしていく動作を繰り返します。
特に足首の安定性や股関節の可動性、全身の協調性を測るのに効果的です。