足底筋膜炎は、長時間の立ち仕事や過剰な歩行によって足の裏の筋膜にストレスがかかり、炎症が起こる疾患です。
また、靴が足に合わなかったり、体重が増加したりすることも原因になります。
この疾患は、痛みを伴い、治療には薬物療法やリハビリが行われます。
今回紹介する研究では、足底筋膜炎の治療法として、「リハビリ」と「ステロイド注射」のどちらが痛みの改善に効果的かを比較しました。
研究の概要
- 対象者:30~60歳の足底筋膜炎の患者43名(平均年齢45歳、男性20名、女性23名)
- 治療法:
- ストレッチ実施群(22名):ストレッチとモビライゼーション(筋膜や関節の動きを改善する治療法)を行い、週3回、3週間、合計9回実施。
- ステロイド注射実施群(21名):ステロイド注射を1回のみ実施。
測定方法
痛みと生活への影響を以下の2つの方法で評価しました:
- FAAM(Foot and Ankle Ability Measure):
- 足の痛みが日常生活にどれほど影響を与えているかを評価する質問紙。
- VAS(Visual Analog Scale):
これらの評価は、治療前と治療後の3週間、6週間、12週間に行い、さらに1年間追跡調査を行いました。
結果
- 短期(3~12週間後):
- ストレッチ実施群では、ステロイド注射実施群に比べ、痛みの強さや日常生活への影響が有意に改善されました。
- 長期(1年後):
- 1年後には、両群の間に有意な差は見られませんでした。
結論
この研究から、足底筋膜炎の短期的な改善には「ストレッチ」と「モビライゼーション」のリハビリが、ステロイド注射よりも効果的であることが示唆されました。
ただし、長期的には両方の治療法で同程度の効果があることがわかりました。
まとめ
- ストレッチやモビライゼーションは、足底筋膜炎の痛みを短期間で効果的に改善します。
- ステロイド注射は1回の治療で済みますが、長期的にはリハビリと同様の効果が見られます。
症状の重さや患者のライフスタイルに応じて、どちらの治療法が適しているかを検討することが重要です。
本日は自分でできる足底筋のストレッチをご紹介します。
足底筋のストレッチは、足の裏の筋肉を柔軟に保ち、足底筋膜炎などの痛みを予防・緩和するのに効果的です。
以下に簡単な足底筋ストレッチを紹介します。
タオルストレッチ
やり方:
- 座って、片足を前に伸ばします。
- 足の裏にタオルをかけ、タオルの両端を両手で持ちます。
- タオルを軽く引っ張って、足の裏全体を伸ばします(特に土踏まずを意識)。
- 15〜30秒間キープして、反対の足も同様に行います。
効果: タオルを使うことで足底筋膜を無理なく伸ばすことができ、特に痛みがある時期でも安全に行えます。